183_★2つから★5つへの大幅な評価UPを実現!~いかにして1年後に大幅な評価UPを実現することができたのか!?~

マンション管理
適正評価部門

部門賞・グランプリ

★2つから★5つへの大幅な評価UPを実現!
~いかにして1年後に大幅な評価UPを
実現することができたのか!?~

Jワザック両国管理組合 理事長 片岡 忠朗

背景

  • 当マンション(Jワザック両国)は2016年12月に東京都墨田区に建築された現在築7年目のマンション。 2020年より理事会が主体となって管理活動に積極的に取り組むようになり、多くの管理改善を実施。居住者の方たちの適切な暮らしや、適切なマンション管理の維持・改善に努める。
  • 昨年2022年4月より開始されたマンション管理適正評価制度にも、当管理組合では高評価を獲得できるだろうと推測し、総会決議を経てマション管理適正評価制度の申請をいち早く実施。
  • 審査の結果、推測とはかけ離れた低評価の結果となり、登録時点では登録マンションの中で最下位となってしまった(2022年10月30日時点でのマンション管理適正評価サイト掲載物件97件中97位)
  • しかしながら、当管理組合員や理事会の中では、「問題点が洗い出されたことは良かった」「マション管理適正評価制度を利用していなければ問題点には気づかないままだった」など登録申請した事に関して肯定的な意見ばかりで、否定的な意見は一切なかった。
  • 逆にマンション管理適正評価制度の有益性を実感するとともに、問題点の改善に取り組むことでより良いマンションに改善できることを確信し、更に積極的に改善への取組みを実施することになった。
  • そして1年間の改善を経て、今期(2023年度)のマンション管理適正評価制度の更新登録申請を実施した結果、大幅な評価UPを実現するに至った。

目的

  • 昨年にいち早くマンション管理適正評価制度の登録申請を実施した当初の大きな目的の一つは、高評価を獲得し外部に公表されることによる資産価値の向上でした。
  • そして2回目となった今回の更新登録申請の目的は高評価獲得による資産価値の向上もないわけではありませんでしたが、それよりも大きな目的が2つありました。
  • 一つは昨年の申請結果によって洗い出された問題点への改善を1年間かけて実施してきたことを目に見える形で証明し、外部に公表していくこと。 もう一つは、マンションの健康診断として毎年の管理状態を診断し、常に適切な管理をして必要に応じて改善を実施していくことでした。
  • それは昨年のマンション管理適正評価制度を利用したことによって高評価を取得するよりも、現在のマンションの管理状態を診断して問題点を洗い出し、改善を実施していくことが重要だと実感できたためです。
  • そして更新登録申請となった2回目も、昨年以上にマンション管理適正評価制度は高評価を取得したら終わりではなく、マンションの健康診断として毎年申請をしていき、適切なマンション管理と居住者の方たちの暮らしを維持していく目的のために重要であると強く実感しました。

実施内容

バリューアップのための実施内容
(2023年度MVA マンション管理適正評価部門)
マンション管理適正評価制度によって洗い出された3つの大きな問題点に対する改善への取組み
2022年度のマンション管理適正評価の登録申請結果によって洗い出された3つの大きな問題点に対する改善を実施
  • 過去の総会議事録不備(過去開催の総会の議事録において不備(議長などの署名・捺印がない)が発覚
    【改善実施内容】 管理会社と協力し、当時の議長及び総会出席者への総会議事録への署名・押印依頼を実施し、不備を解消
  • 長期修繕計画書案などの未承認(竣工時の長期修繕計画書案及び資金計画案が総会で未承認)が発覚
    【改善実施内容】 新たに長期修繕計画書案及び資金計画案を作成。組合員へしっかりと理解して頂くための工夫をこらして「長期修繕計画書案・資金計画案」及び「修繕積立金の改定案」の議案を総会に上程し、両案ともに可決承認された
  • 防災対策に対する低い意識(少量の災害備蓄品の備蓄と防火管理者選任以外の防災対策を講じていなかった)
    【改善実施内容】
    ①消防訓練の実施 : QRコードなどITを活用して個別に実施できる4項目の消防訓練を考えて実施
    ②防災マニュアル類の作成 : 当マンションの実態に即した現実的な内容とした防災マニュアルを作成
    ③災害備蓄品・災害対策品の購入 : 災害備蓄品の追加購入や新たに購入検討する災害対策品は防災マニュアルを作成する時に同時に検討。購入した災害対策品は設置するだけではなく、設置場所に使用方法などを記載した書面を作成して掲示を実施
マンション適正評価制度の更新登録申請とマンション管理計画認定制度の認定申請の実施
昨年2022年度にマンション管理適正評価制度の登録申請結果によって洗い出された問題点に対する改善を実施し、マンション適正評価制度の更新登録申請及び東京都墨田区より2023年4月より開始されたマンション管理計画認定の認定申請を実施した
  • マンション管理適正評価制度の更新登録申請 昨年同様に管理業務主任者でマンション管理適正評価制度の評価資格を保有しているJワザック両国管理組合の理事長にて評価の上、更新登録申請を実施。昨年の評価完了までは非常に苦労したが、今回はシステムが改修されており分かり易くなっていたことと、2回目であったためスムーズに評価完了することができた
  • マンション管理計画認定制度の認定申請 2023年4月より東京都墨田区にてマンション管理計画認定制度が開始され、いち早く当管理組合でも総会決議を経て認定取得に向けて認定申請を実施。マンション管理適正評価制度の申請を上記の通りに実施することとしたため、マンション管理業協会へのワンストップ申請は利用せずに、マンション管理センターのマンション管理計画認定手続支援サービスを利用して認定申請を実施した

実施結果

結果添付資料
(2023年度MVA マンション管理適正評価部門)
イメージ写真等
(2023年度MVA マンション管理適正評価部門)
過去の総会議事録不備の解消
  • 法令遵守につながる適切な管理に改善された。
長期修繕計画書案・資金計画書案及び修繕積立金改定(均等積立方式)の承認
  • 今後30年間にわたり、適切なマンションの管理・維持・修繕ができる可能性が高まった。
防災対策に対する低い意識の改善
  • 居住者の方たちの安心・安全な暮らしにつながったものと想定している。
マンション管理適正評価制度の更新登録申請
  • 上記の改善を実施した結果として、前回の★2(42点)から★5(94点)という大幅な評価UPの実現に至った。 その結果、マンション内外に対して管理意識の高いマンションであることが周知でき、資産価値の向上にもつながったものと想定している。
管理計画認定制度の認定申請
  • 昨年からの改善実施により、2023年4月より東京都墨田区にて開始されたマンション管理計画認定制度にも迅速に認定申請をし、墨田区マンションで2号目となる認定を取得することができた。また、住宅金融支援機構から発行され、2023年度から新たに追加された認定マンションすまい・る債の申し込みもすることができ、管理組合収益の改善にもつながった。

苦労した点・工夫した点

今回最も工夫したことは、長期修繕計画書案及び資金計画案の総会承認に大きく影響する修繕積立金改定案の承認に向けて下記の取組みを実施したことです。この工夫により長期修繕計画書案及び資金計画案の議案と、4倍以上の修繕積立金の値上げ議案の両案ともに総会で承認されたと捉えています。
  • コスト改善に対する管理組合活動の周知 コスト削減とSDGsの取組みとして従来まで紙で配布していた総会の上程議案書を原則的にネットから電子データをダウンロードして提供する方法に変更しました。(希望者には紙での提供も対応することとしましたが希望する方は一人もいませんでした。) この取組みにより管理組合が積極的にコスト削減を意識した活動をしていることを組合員へ周知できたものと考えています。
  • 管理組合収支の改善金額を試算して上程議案書に記載 過去3年間の収支改善活動により長期修繕計画期間と同期間の30年間で具体的にどれくらいの修繕積立金の値上げ低減が図れる予測なのかを試算し、その金額を上程議案書に具体的な金額を記載しました。 また、収入UPや削減費用だけではなく、改善に伴って支出する費用も同様に30年間分を試算してより正確な数字となり、専有部分の㎡当たりの面積での低減費用も明確にわかるように記載したことで、多くの組合員に値上げの必要性を理解して頂く決め手となったと考えています。

管理組合・居住者の声

  • 昨年度の評価が低かったのは、販売会社と当初の管理委託者が原因であることは明白です。 現在の管理組合役員の積極的な取り組みによって、評価が上昇することは想定してましたが、このような大幅な上昇は、資産価値が高まったことであり嬉しいことです。
  • 大規模な地震や大量の降雨による洪水が懸念されており、防災対策の充実は居住者にとって優先度が高いと思います。 各居住者による防災対策とともに、近年、管理組合によってエレベーター内の防災用品や備蓄品等の細かい対応が進んでいるだけでなく、マンションの実態に見合った防災マニュアルが整備されていることは、安心・安全に資する好材料だと思います。
  • 修繕積立金が4倍以上の値上げと知って初めは抵抗を感じましたが、長期的な視点で見てメリットがある施策であると理解してからは、承認できてよかったと感じています。
  • 昨年から大幅にアップしたことは改善された証明でもあり、マンション価値を上げる分かりやすい指標になるため、所有者、賃借人の方にとっても、とても誇らしく、喜ばしいことだと思っています。 また、管理計画認定をいち早く取得できたことについても、日々管理組合で改善に取り組んだたまものだと思います。
  • このマンションに見合った防災マニュアルや災害備蓄品の準備ができており、居住者にも分かりやすく提示されているので、安心できました。

実施にかかった費用

実施費用合計:186,670円
災害備蓄品・災害資機材購入費用の合計:146,170円
  • 災害資機材(バール・ハンマーなど救出工具):24,000円
  • 長テーブル:13,640円
  • エレーベーター椅子:46,550円
  • ホワイトボード:9,980円
  • 簡易トイレ関係:52,000円
マンション管理適正評価制度申請登録費用の合計:20,500円
  • マンション管理適正評価制度登録料 :5,500円
  • マンション管理適正評価費用:15,000円
管理計画認定制度申請費用の合計:20,000円
  • システム利用料及び事前確認審査料:¥20,000

収入増や支出減となった費用

  • 今回のマンション管理適正評価制度の更新登録申請にあたり、管理組合会計において直接目に見えて収入増・支出減となった費用は算出できません。
  • しかし、マンション管理適正評価制度によって洗い出された問題点の改善の取組みの一つであった、詳細な長期修繕計画書案及び資金計画案の作成によって的確な修繕積立金を試算し、30年間を見据えた均等積立方式による修繕積立金の改定を実現できました。
  • その結果、今後30年間にわたり適切にマンションの修繕が実施されていくことにつながり、資産価値の維持・向上が図れるものと考えます。
  • そして、もしもマンションを売却する時や他人に賃貸する際には他マンションと比較して高額で売却できる、賃貸できる可能性が高まるなど大きなプラスの効果をもたらす改善が実施できたものとも考えています。
  • また、昨年からの改善により2023年4月から東京都墨田区で開始されたマンション管理計画認定制度へも迅速に認定申請し、スムーズに認定取得できたため、2023年度から住宅金融支援機構にて新たに設けられた認定マンションすまい・る債(通常の債権の利率より0.05%上乗せ)の申し込みもすることができ、管理組合収益の改善(収入増)につながる予定です。

プレゼンテーション資料

発表プレゼンテーション資料