255_『マンション管理適正評価制度』の普及促進に向けた社内取り組み

マンション管理
適正評価部門

佳作

『マンション管理適正評価制度』の
普及促進に向けた社内取り組み

三菱地所コミュニティ株式会社 井原 奨之

背景

  • 2022年4月より運用が開始された『マンション管理適正評価制度』。
  • これまでにはないマンション管理の状態を評価し、それをインターネットを通じて情報公開することで中古市場でのアピールに繋げるという新しい取り組みであるが、同時期に開始した『管理計画認定制度』と内容が似通っている等、弊社の中でも非常に混乱が続いている状態であった。
  • これまで中古マンションの売買の際にはあまり重視されてこなかった、マンションの「管理」が着目されるようになることで、管理受託物件の区分所有者にとっては資産価値の向上を目指す良い機会であり、また管理会社にとっては日常管理の質が顧客から評価されるチャンスにもなると捉え、管理組合への提案を促進するためにフロント担当者に対して制度の詳細説明や提案サポートを行っている。

目的

  • 認定制度と比較して、マンション管理適正評価制度の評価基準は多岐にわたり、また誤った評価の状態で情報公開することは中古物件の購入検討者等の誤解を招いてしまうリスクもあること等から、制度を管理組合へ提案するフロント担当者には非常に正確な知識が求められる。また仮評価の結果が低評価となった際に、管理組合より日常の管理についての問題を指摘されるのではないかとのネガティブな意見も挙がっていたことから、弊社としては、以下の視点から社内でのフロントサポートを継続して行っている。
方針
  • 制度に関する正確な知識を身に着け、誤評価・誤登録が発生しないようにする。
  • 実際に提案するフロントの心理的なハードルを下げ、提案を活性化させる。

実施内容

MVA添付資料
フロント担当者向けの定例説明会の開催
  • 前述の通り、フロントにとって制度提案が進まない一つの要因となっていたのが、「評価の正確性」という点であり、まだ始まったばかりの本制度に関する知識については全社的には浸透しているとはいえない状況であった。また本制度はその評価基準だけでなく、それに関連する提出書類や申請時の手続き等、覚えなければならないものが多く、一度に案内してしまうとフロント担当者も混乱してしまうため、弊社では以下の説明会を定例で行っている。(※各回の実際内容については添付資料参照)
概要
  • 今年1月より毎月2回程度の頻度で制度に関する定例説明会を開催(計18回)
  • 各回テーマを絞った内容で情報を小出しに案内(各回30分程度)
  • 出席は毎回自由とし、フロント担当者は自身が不安に感じているテーマの回にのみ出席することが可能
  • 対面、オンラインでの参加を含めて毎回約50名程度の参加実績
制度提案に対するフロント担当者の心理的ハードルの低減
  • フロント担当者の提案を妨げているもう一つ要因として、仮評価の提案時に不足している項目(減点となっている項目)について、管理会社やフロント担当者に責任を問われるのではないかとの懸念があったことが挙げられる。日常のフロント業務が多忙な中で、新しく制度の提案を行うことに抵抗感のあるフロントも多数いたことから、以下の社内展開を行っている。(※詳細については添付資料参照)
概要
  • 社内でも提案実績及び登録件数の多いフロント担当者を制度のインフルエンサーと位置付け、制度に関する対談を実施し、その記事を社内掲示板で全社共有
  • 特に改善項目等のネガティブな情報の伝え方等の好事例を共有する
  • 制度の概要を簡潔にまとめた動画を作成し、弊社のYouTubeアカウント上で公開

実施結果

フロント担当者向けの定例説明会の開催
  • これまで制度に対して苦手意識のあったフロントにとって、情報を整理する良い機会となり、またテーマ毎に情報を絞ったことで参加者の負担も少なく済んだ。定例説明会後には必ず「等級評価シート」の確認依頼が増えており、提案件数の増加に繋がった。また、 ①定例会への参加する ②評価シートの作成 ③管理組合への提案 ④更なる不明点の解消のために次回の定例会へ参加する といった好循環が生まれており、継続して開催してきた効果が見えるようになってきている。
制度提案に対するフロント担当者の心理的ハードルの低減
  • 社内でも影響力のあるフロント担当者がインフルエンサーとなったことで、それまで提案数の少なかったフロント担当者の意識改革に繋がり、また担当者同士で教えあうようになったことでより好事例が浸透してきている状態。またYouTube上に公開した動画については、管理組合向けに作成している側面もあり、QRコードを理事会資料等に追加することで、管理組合役員に説明する際のツールとしても利用されている。理事会資料の省ペーパーや資料作成の負担軽減という意味でも非常に効果的で、今後は更なる活用が期待される。

苦労した点・工夫した点

  • 若手からベテランまで多くのフロント担当者が正確な知識を身に着けることが非常に難しいが、誤った情報を管理組合に提供するわけにいはいかないため、管理組合への発信ツール(YouTube)を作成し、入社歴が浅いフロント担当者でも正しい情報提供をできるようにした。継続して情報を発信することでフロント担当者の興味を引くよう工夫している。

管理組合・居住者の声

  • なし

実施にかかった費用

  • なし

収入増や支出減となった費用

  • なし