管理組合運営部門
佳作
リゾート物件におけるオンライン活用事例
株式会社東急コミュニティー 武田 智裕
背景
- 長野県軽井沢町にある築16年目の温泉付きリゾートマンション総戸数124戸。
- リゾートマンションだが定住比率が2割を超え、その多くは所得が高い高齢者層。
- そのような状況の中、理事会は必ず現地マンション集会室で開催
- 過去からの理事会運営は、同役員が継続して留任し、退任する役員分を輪番で選任している。
- リゾートマンションの特性上区分所有者の一人一人の素性が分かりづらいことと、役員就任依頼に対し辞退されるケースが多い為、定住者の役員就任比率が高い状況で推移。
- 3年前から、新型コロナの影響により、外部の区分所有者が来館出来ない状況が続いた。
- そのような状況下、定住する役員と外部の区分所有者それぞれの意見を反映させた組合運営を継続する必要があり、オンラインを利用した理事会を実施することで、役員それぞれの状況を反映した組合運営を一早く取り入れた。
- 定住する所有者=現地出席、外部所有者=オンライン出席、長年の役員経験者=オブザーバーとして現地、オンラインのいずれかで出席。
- オンライン理事会を取り入れたことで、区分所有者全員が自身の状況により積極的に組合活動に参加してくれるようになった。
目的
- オンラインを取り入れることで、役員選任の不公平感をなくし、定住者、外部所有者等、それぞれの立場から積極的に組合運営に参加出来る環境を整えること。
- また、将来的には、交通費等の中長期的コスト削減の為、オンライン活用を多く取り入れていく方針とした。
実施内容
リゾート物件におけるオンライン活用事例
- オンラインでの理事会出席できるよう管理規約を改定した。
- マンション現地集会室に大型テレビモニター、スピーカーフォン及びwebカメラを設置した。
- オンライン理事会を可能にするため現地集会室とロビーにフリーWi-Fiを導入した。
実施結果
- 災害時においては集会室が避難所となる為、タイムリーに情報収集できるようモニターを兼ねたテレビを設置。
- テレビモニターでオンラインで出席した役員の映像が映るようにした。
- 現地WEBカメラにより、双方の状況が分かり意思疎通が図りやすい環境を構築した。
- 定住する所有者と外部所有者の双方の意向を理解することで意思疎通を図る機会を多くなった。
- 工事等の提案業者も無理なく理事会へ出席しやすくなり、議案審議に関わる時間短縮に繋がった。
- 紙資料が大幅に減少したことで、紙代、印刷代の削減に繋がった。
苦労した点・工夫した点
- 当初、必要機器購入について反対意見も多かったが、コロナウィルス拡大により集合しての理事会開催が困難な状況となった為、オンライン理事会開催に関し賛同する割合が高まり、導入に追い風となった。現在ではスタンダードに利用している。
- zoom会議機能については、管理会社がアドレスを無償提供しており、管理組合が用意する必要がないことも、オンライン理事会開催の利便性が理解されるに至った。
管理組合・居住者の声
好評な点
- 印刷コストの減少。
- 初期費用(機器購入)がかかったものの、中長期的なランニングコストは抑制。
- 今まで参加出来なかった区分所有者の理事会参加。
今後の課題点
- 現地でホスト(運営、運用ができる方)の引継ぎ。
- 現地出席者(定住所有者)の高齢化。
実施にかかった費用
- モニター等、機器購入+インターネット導入工事費用:約60万円
- インターネット月額利用料:6千円/月(但し、ロビーは全体へ解放)
収入増や支出減となった費用
- 印刷費用(年間約5万の費用減)
- 外部所有者の往復交通費(年間約30万円の交通費削減)