317_マンション修繕工事における居住者間の良好な関係構築について

工事・メンテナンス
部門

準部門賞

マンション修繕工事における居住者間の
良好な関係構築について

株式会社東急コミュニティー 太田 恵一

背景

  • 当方が運営担当しているマンション2棟について、分譲業者が同じ会社で隣接しており、いずれも2008年・2009年の竣工で、いわば「兄弟マンション」がございます。
  • 当社には準工事から管理委託いただいており、個人的な意見ですが、良好な関係を築いてこれたと考えております。両マンションともに町内会が同じということもあり、居住者の方々は交流があり、両マンション間の関係も良好な印象を受けております。

目的

  • 両マンションともに初めての大規模改修工事の実施に向け、検討を重ねて参りました。工事範囲や工事業者の選定のため、数年前から検討を進めてきましたが、検討を進める中で、①社会情勢の変化に伴う急激な物価高騰②隣接マンションのため足場設置が困難な箇所がある(隣接敷地に足場がはみ出す)、等の問題が浮上してきました。
  • ①については、1割程度の上昇が見込まれ、契約時までに更なる上昇が懸念されました。②については、足場設置の代わりにゴンドラとする代替案も検討しましたが、作業の仕上がりの点から足場設置が望ましい、お互いに了承して隣接敷地に足場を設置することにすることも考えておりました。

実施内容

両マンション合同での大規模改修工事とする施策
  • 上記問題点①②を解消するため、大規模改修工事をそれぞれ単独で実施するのではなく、合同で行う案が上がりました。本案については、工事部門の方々にも各種アドバイスいただき顧客提案することができましたが、初めて提案した時から両管理組合より良好な感触、評価いただいたのは覚えています。
  • 工事費用については、工事仕様の違いから、両マンションにそれぞれ個別に費用請求することにはなりましたが、工事資材(タイル等)を一括注文とすることで費用を抑えることができ、足場設置については、隣接箇所であることを活かし、通路の足場を設置し、両マンションを足場で通行可能することで工事短縮に繋がりました。
  • また、片方のマンションは、集会室が無く、敷地スペースにあまり余裕が無いため、仮設事務所の設置場所が悩みの種でしたが、合同工事ということで、仮設事務所は1つ(片方のマンション集会室)とすることも可能となり、こちちらは嬉しい誤算でした。

実施結果

下記の通り挙げられます。
  • 工事費用が1割程度軽減(1,200万円程度)
  • 工事期間の短縮、工事が円滑に進めることができる点
  • 仮設事務所が1個所設置、現場監督も1名でよい点
  • 居住者間の関係性も深まった点(後述参照)

苦労した点・工夫した点

  • 「合同工事」はあまり実例が無いため、仮設事務所等の設置要件等について確認することが多く、工事部門の方々のアドバイスが無くては成り立たなかったと思われます。

管理組合・居住者の声

  • 合同工事提案については、提案時から評価する回答をいただいておりました。
  • また、工事説明会も合同で行ったため、良マンションの居住者間の交流・一体感が出てきたと思います。
  • 「お互いに協力できる時は手を取りあうべきた」との御意見も頂戴しており、【ハード】面の取り組みが、【ソフト】の面に良い影響を与えたことが、運営担当として喜ばしく感じております。

実施にかかった費用

  • 1億2千万円程度(削減後金額)

収入増や支出減となった費用

  • 各種工事資材費用(1,200万円程度)