マンションライフ部門
審査員特別賞管理員としての日頃の努力や行動で価値向上に貢献
好評!定期便花便り(手書きイラスト付き)
三井不動産レジデンシャルサービス㈱ 秋山 豊
背景
- 当マンションは、2009年に竣工し、今年で14年目になります。駅から約徒歩10分の便利な場所にあります。
- また、総戸数27戸と比較的小規模なマンションですが、高級物件にふさわしく建物の外装や設備に様々な工夫があり、その中でも鮮やかなアイボリーの外壁は付近のランドマークとなっています。
- 当マンションの植栽は、南側、東側、北側や中庭に20種類を超える様々な植物が植えられ、かつ18種類もの植物が1年を通して花を咲かせます。また、外来の高級で名前も知らない植物も多いです。
- 昨年は竣工13年目で第1回目の大規模修繕工事が実施されましたが、大規模修繕工事では植栽が損傷することも多いと聞くため、予め植物の名前・場所を把握する目的で、植栽全体を色鉛筆でスケッチですることで、植物を把握し損傷に備えることにしました。
- また、作成したスケッチは居住者サービスとして、植物の花が咲くタイミングで掲示でお知らせするサービスを開始しました。
目的
大規模修繕工事後に植栽を元の状態に戻すこと、居住者に花を親しんでいただくことを目的に以下を実施しています。
- スケッチした植物の掲示
- 開花のタイミングに併せて花便りを掲示
- 植栽情報ガーデンツアー実施
実施内容
好評!定期便花便り(手書きイラスト付き)
「植栽のスケッチ」実施と掲示(写真①)
- 南側と東側の植栽(各40m、20mの長さ)を色鉛筆でスケッチし、合わせて写真も貼り、植物の名前を記入し図鑑のような体裁にして、掲示板に掲示しました。花の咲く植物は季節により異なりますが、スケッチは1度に花が咲いた状態をイメージし作成しました。このことにより当マンションの植栽は、多くの花が四季折々に咲く豊かな植栽であることを知ってもらいました。
「花便り」の掲示(写真②)
- 春先から花が咲く度に、その植物の特徴を写真とともに掲示しました。記載内容は、名称・科名・原産地・花の特徴(色、花弁の形状等)・名前の由来・エピソード・花言葉等です。また、花の位置を示すため同時に掲示した上記の「植栽のスケッチ」に場所を示しました。「植栽のスケッチ」と「花便り」をセットで、当マンションの植栽が、豊かな環境を近隣にも提供していることをお知らせしました。昨年に引き続きの実施ですが、今年の「花便り」は16回のシリーズとなりました。
居住者向けガーデンツアー
- 「植栽のスケッチ」や「花便り」を掲示してきたので、居住者の方から時々植物のことを質問されたり、植栽のスケッチのコピーを欲しいという要望をいただきました。そこで、これまで得た知識をもとに、マンションの植栽を巡るガーデンツアーを企画し、参加者を募集しました。申し込みがあるか不安もありましたが、募集の結果2名の応募がありました。
- 7月の猛暑の中であったため、20分程度の開催予定でしたが、ついつい説明に熱が入り植栽全体の設計思想や個々の植物の特徴を詳しくお伝えしたことろ、質問も相次ぎ1時間を要する盛り上がりでした。2名の参加でしたが、全27戸のマンションなので成功と言えるのではないでしょうか。 ガーデンツアー後、参加者より過去に掲示した花の咲く植栽の写真の一覧(18種類)が欲しいというご要望があり、差し上げました。
実施結果
- 「植栽のスケッチ」と「花便り」については、多くの居住者から好評価をいただきました。「いつも楽しみに見ているよ。」、「掲示をみて子供と一緒に植栽巡りをしているよ。」等、ありがたいことに受付まで来て言っていただくこともしばしばでした。
- 掲示板を単なるお知らせではなく、見て楽しめる場、一種のエンターテインメントにすることができたと思います。 また、この取り組みで植栽を詳しく把握できたおかげで、大規模修繕の仮設足場で日が当たらず、外周の生垣であるレイランディの裏側がほとんど枯れていることをいち早く気づき、即時補植の対応をすることができました。
苦労した点・工夫した点
- 植物についても、スケッチについても素人なので、手探りでの取り組みでした。最初はパノラマ写真で対応しようと思いましたが、特に南側は40m近くある植栽ですので、写真ではひとつひとつの植物があまりに小さくなり、分かりづらかったです。そこで自在に書けるスケッチにし、デザインやデッサンの本やネットを見て勉強しました。昨年に続き2回のスケッチのため、少しは上手になったと思っています。スケッチをすることにより、外国産の覚えにくい植物の名前も覚えることができました(例 ビブリナムティヌス、ゴードニアラシアンサス等)。
- 花便りを作成するに当たっては、知識を図鑑やネットで丹念に調べました。名前の分からない植物については、植物の写真を撮りアップロードすると植物名を表示してくれるスマートフォンアプリ「この花なに?」を活用しました。
管理組合・居住者の声
- 「植栽のスケッチ」は掲示前に、管理組合の理事会で見ていただきましたが、「素人の作品とは思えない。」、「こんなに多数の植物があるのを初めて知った。」等のありがたいお声をいただきました。居住者からは、「花便りを毎回楽しみにしている。」、「植物に関する知識が得られ参考になった」等の声がありました。
- また、NHKの連続テレビ小説で、植物学の博士が主役になっていることもあり、居住者の方と植物の話題で盛り上がったこともあります。
実施にかかった費用
- 特になし。(スケッチブックや色鉛筆のみ)
収入増や支出減となった費用
- 昨年の大規模修繕工事にて、外周の生垣のレイランディの裏側がほとんど枯れてしまいました。
- 原因は仮設の足場が日差しを遮ったことによるものですが、仮設されているため外側から枯れた様子は分かりませんでした。しかし、日頃から植栽管理を特に注意していたことで、いち早く異常を発見することができました。
- そのため、理事会役員と工事会社との打合せ時に、植栽業者とともに同席し、その場でヒアリングし原因を特定することができました。結果として、補植対応もスムーズに実行できました。