312_このアンケートには秘密があります。~音に悩むパパママを救ったったひとつの設問~

マンションライフ部門

審査員特別賞

フロントマンとしての創意工夫、逆転の発想で価値向上に貢献

このアンケートには秘密があります。
~音に悩むパパママを救ったたったひとつの設問~

株式会社大京アステージ 亀谷 和弘

背景

管理組合の希望により、マンションが特定されないように本件をご紹介します。
  • 築年数は2年で、公園に隣接したマンションで都心からもほど近いですが非常に閑静な住環境です。
  • マンションというのは「実際に住んでから気が付くこと」というものがいくつかあります。
  • その一つが、「音の問題」です。
  • 例えば、公園に隣接していることから購入時は「のどかなイメージ」を持たれると思います。
  • ですが、実際には子供たちがたくさん遊びに来るので、学校の終わった15時から18時頃までは非常に騒がしくなります。
  • また、車通りも少ないためスケボーをする子も多く、「スケボーの音がこんなにうるさいだなんて知らなかった」という声も聞こえてきます。
  • もちろん、子供たちに「公園で遊ぶな」というわけにもいかないため音に対する不満は高まっていきました。
  • そして、引き渡しから約半年が経ち「管理組合」が設立されました。
  • 役員に関しては「立候補者」が出るほど積極的な管理組合活動が開始されました。
  • そこで、話題となったのが「音の問題」です。
  • 今回は、音の問題を「魔法の設問をそえたアンケート」を使って解決しました。

目的

生活音に関する不満を解決したい
  • 公園からの音などは仕方ないですが、音に関するストレスを抱えているので、普段の生活音に関してもデリケートになっている印象がありました。管理会社にも「上の階からの生活音がうるさいから何とかして欲しい」という問い合わせがよく来ていました。
  • ですが、私たちは共用部分の管理会社であるため「騒音問題などの個別案件」への介入はできないため、掲示文などにより「全体周知」をするのが精一杯でした。
  • その後、管理組合の理事会でも「生活音」が話題にのぼり、「管理組合は共用部分を管理する組織であるが、この音の問題に関して何もしないわけにはいかない」という結論になり、管理組合として「音の問題」に取り組む事にしました。

実施内容

アンケート用紙
生活音に関する実態調査~魔法の設問付きのアンケート~
  • 入居開始から、管理組合が設立するまでの間に多くの「生活音に関する問い合わせ」がありました。
  • 管理会社としては「マナーとしての注意喚起を掲示文に含める事しかできません。また、管理組合発足後に理事会で検討となります。」という案内をしていました。管理会社の立場では、この対応が精一杯でした。しかし、居住者からすると「どこに相談したら解決できるかわからない」「管理組合が出来たら相談できるのか」という不安の中にいたことに後から気づかされました。
  • また、良かれと思っていた「掲示文対応」ですが、お子様と暮らしている方に対する無言の圧力になっていることに後から気が付くという反省の残る結果となりました。そして、理事会が開催されました。
  • 理事会で音の問題について議論しましたが、「音はある程度仕方がない」「音を気にしている方の受忍限度も上げて欲しい」という意見が出ました。
  • また、注意喚起の掲示文によって大変肩身の狭い思いをされている方がいるならば、その雰囲気を緩和したいという意見も出ました。理事会の方針に基づき実施したのが、設問5の魔法の質問です。
  • この設問のどこに魔法が掛かっているかわかりますか?
アンケートの目的は「大丈夫だからね」というメッセージ!!
  • 一般的に、このような「音に関するアンケート」を実施した場合の集計結果は、「マンションは共同住宅ですので、お互い住みやすい環境にするために配慮していただきますようお願い申し上げます」という、言葉尻は柔らかいですが「静かにして欲しい」というメッセージを載せることになります。
  • しかし、今回の理事会で居住者に伝えたかったのは「大丈夫だからね!」というメッセージでした。
  • 魔法の設問の回答は5つありますが、4つは「聞こえているけど、ある程度は大丈夫です」というメッセージを暗に含めた表現にしました。
  • 「うるさい、うるさくない」の二択だと、「うるさい」となりますが、その場合は「聞こえているけど、気にしてないよ」という優しい声をかき消してしまっています。理事会は、その優しい声を拾いたいということでした。
  • そして、せっかく購入した新築マンションで周りの目におびえて窮屈な思いをしている人を救いたいという目的がありました。
  • その結果は、どうなったでしょうか?

実施結果

アンケート用紙
  • アンケート回収後に、理事会を開催し集計作業を行いました。
  • そこで、私たちが見たのは優しさにあふれる回答ばかりでした。
  • 多くの人が「音は聞こえているが、聞こえるなぁ程度で気にしていない」「子供の音なので微笑ましく聞いてます」「いつも掲示板に注意喚起文が掲示してあり、お子様のいる家庭はかわいそうだと思っていました」「うちも音を出してしまっていると思いますので、お互い様だと思います(ウチもうるさかったらいってください…)」
  • 理事会で、この回答を見たときにこのように確信しました。
  • 「音の量を減らすことはできないが、音の感じ方を変えることはできる!」
  • 皆さまも「大好きなミュージシャンの音楽なら大音量でも平気」という体験をしたことがあると思います。
  • 音を出してしまっている人にも事情があるとわかれば、多くの人は優しい気持ちになるということが、このアンケートでわかったことです。
  • あなたが思っているより、まわりは優しいという事です。

苦労した点・工夫した点

  • 管理会社の凝り固まった「注意喚起文」をつくるという概念を、管理組合の役員の方と壊しました。

管理組合・居住者の声

  • 掲示板に音の事が書かれていたので、うちのことだと思っていました。その後アンケートが来たので、本当にどうしようかと思いました。でも、アンケートの集計結果に「子供の音は仕方ないと思うし気にしていない」「子供の音は一過性のものなので、夜中でないなら気にしてない」「元気だぁ、と微笑ましく聞いてますよ」という回答に本当に心が救われました。このようなアンケートを実施してくださった、理事会の皆さまに感謝しています。

実施にかかった費用

収入増や支出減となった費用